犬猫の慢性下痢について
一次診療の動物病院に来院する下痢のほとんどは急性の下痢で、治療反応が良いものばかりです。
しかし、3週間以上下痢が続く(良くなったり悪くなったりを繰り返す場合も含む)場合を「慢性下痢」と言います。これは、腸以外が原因で消化器徴候を引き起こす各種疾患を除外した上で、それで原因が特定できないものを慢性下痢と言います。
【腸以外が原因で消化器徴候を引き起こす各種疾患とは・・・】
肝臓疾患、腎臓疾患、膵臓疾患、内分泌疾患、明らかな感染症、異物など慢性下痢には色々な原因があるのですが、治療反応に基づいて大きく4つに分類されますので、一つずつ可能性を潰しながら除外診断していくことが多いです。
① 食事反応性腸症(FRE)
② 特発性腸内細菌叢異常症(MrMRE)
③ 免疫抑制薬反応性腸症(IRE)
④ 治療抵抗性腸症(NRE)
これにさらにタンパク漏出(低ALB)の症状があるかどうかを加味して細分類し、治療法を検討します。
1.食事反応性腸症
慢性腸症のなかで実は比較的多いのがこのタイプ「食事反応性腸症」です。
症例ごとに食物アレルギーの可能性、脂質含有量、消化性、食物繊維の量などを考慮して最適な食事(多くは療法食)を試してみます。これが原因の場合多くは数日~2週間以内に下痢が改善します。良くなった場合少しずつ減らしながら一般食に戻せる場合もあるし、戻せないでずっと療法食が必要になる場合もあります。食事療法の一つとして「サイリウム」という食物繊維を普段の食事に加えてみるのも一つです。
サイリウムはネットなどでも売っていて比較的手に入りやすいですが、身体の大きさによって必要量が異なるため、量はご相談ください。
2. 特発性腸内細菌異常症
以前は「抗生物質反応性腸症」などとも呼ばれていましたが、近年抗生物質の乱用や過剰投与が見直され、「特発性腸内細菌異常症」という言い方をされています。元々腸内には多くの常在細菌がいます。その細菌のバランスが乱れてしまうのがこのタイプです。特定の抗生物質が著効することが多いので昔は下痢には抗生剤が良く処方されていましたが、最近は研究で抗生剤乱用によって常在細菌のバランスが更に崩れてしまうことが分かってきたので、プレバイオティクスやプロバイオティクスで治療する方針に変わっています。当院では行っていないですが、最近の治療では健康な子の糞便を移植することで常在菌を移植しようという糞便移植なんて治療もあります。(糞便移植ができる病院に紹介することは可能です)
個人的にはプレ・プロバイオティクスだけで改善できるケースはとても多いです。が、稀に抗生剤を使わないとどうしても改善できないケースもあると感じています。
3.
上記の治療を行ってみても改善が見られない場合、または超音波の検査で引っかかった場合に、内視鏡の検査で腸の内腔を観察したり、組織の一部を採材して病理検査に出したりすることもあります。
その結果で免疫抑制剤が必要になったりすることもあります。または、患者さんの状態が悪すぎてとても麻酔をかけられない時や飼い主さんが内視鏡検査を希望しない場合は試験的に薬を使うこともあります。
このような場合に免疫抑制剤に反応を示す場合が③、示さなくて治療に難航する場合を④に分類します。
このような場合は難治性の免疫疾患や腫瘍が隠れていることがあります。
色々書きましたが、当院では下痢の相談を受けたらまずは糞便検査(顕微鏡検査、抗原検査、PCR検査など)で感染の除外をし、腸以外の疾患がないかどうかを調べ、①~④を検討していきます。療法食にプレ・プロバイオティクスを加える場合もあります。
他の病院で抗生剤や抗真菌剤を使いまくっていて薬が切れなかった症例が、療法食を使ってみたらピタリととまったなんてこともありました。
下痢の診察をご希望の場合は、下痢の頻度(いつからか、一日の便の回数は増えているのか、きっかけで思い当たることはあるかなど)や本人の様子(元気食欲はあるか、嘔吐はあるかなど)を記録した上でその日にとれた便を持参していただけると助かります。
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みたかマロン動物病院
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