犬猫の避妊去勢について
こんにちは!愛玩動物看護師のジェームスです🌰
避妊・去勢手術については、すでにわんちゃん・ねこちゃんと暮らしている方はもちろん、これからお迎えを考えている方にとっても、一度は話題に上がることの多いテーマではないでしょうか。
「避妊・去勢手術って本当に必要なの?」 「何歳くらいで手術を受けるのがいい?」
「手術をすると性格が変わるって本当?」 「全身麻酔が心配……」
このような疑問をお持ちの飼い主様も多いのではないでしょうか?
避妊・去勢手術は、ただ望まない妊娠を防ぐだけでなく、将来的な病気の予防や発情に伴う行動の軽減など、さまざまなメリットがあります。
またその一方で、全身麻酔のリスクや術後の体重管理など、知っておきたい注意点もあります。
今回は、犬・猫の避妊・去勢手術について、メリット・デメリットや手術を受ける時期、術後の注意点などについてお話しできたらと思います!
1. 避妊・去勢手術とは?
避妊・去勢手術とは、不要な繁殖を防ぐために行う手術です。
一般的に、女の子に行う手術を「避妊手術」、男の子に行う手術を「去勢手術」と呼びます。
ざっくりと、
避妊手術は、卵巣のみ、または卵巣と子宮を摘出する手術。
去勢手術は、精巣を摘出する手術です。
どちらも基本的に全身麻酔をかけて行います。
2. 避妊・去勢手術のメリット
① 望まない妊娠を防ぐ
避妊・去勢手術を行うことで、意図しない交配や妊娠を防ぐことができます。
特に猫は、完全室内飼育であっても、脱走などによって思いがけず繁殖してしまう可能性があります!
繁殖を予定していない場合は、早めに手術について相談しておくと安心です。
② 性ホルモンが関連する病気の予防
避妊・去勢手術には、生殖器に関係する病気の予防や、以下のような一部の病気の発生リスクを減らす効果が期待できます。
女の子の場合
・子宮蓄膿症(子宮に膿がたまる病気)
・卵巣疾患 (卵巣の中に液体の入った袋(嚢胞)ができたり、悪性腫瘍など)
・乳腺腫瘍(手術を受ける時期によって予防効果が異なる)etc...
特に子宮蓄膿症は、進行すると命に関わることもある病気です。
避妊手術によって、卵巣や子宮に関連する病気の一部を予防できます。
また、犬・猫ともに、初回発情前など早い時期に避妊手術を行うことで、乳腺癌の発生リスクを下げられることが知られています。
男の子の場合
精巣腫瘍・肛門周囲腺腫・前立腺肥大・会陰ヘルニア etc...
去勢手術によって精巣を摘出するため、精巣そのものに発生する病気を予防できます。また、犬では男性ホルモンが関係する一部の病気への効果も期待できます。
ただし、避妊・去勢手術を行えば、すべての病気を予防できるわけではありません😢
病気のリスクや予防効果は、動物種や性別、手術時期などによって異なります。
③ 発情に伴う行動を軽減できる
発情期には、ホルモンの影響によって普段とは違う行動が見られることがあります。
例えば、次のような行動です。
【犬の場合】
発情期の出血や行動の変化・マウンティング・マーキング・発情中の女の子を求めて落ち着かなくなる
【猫の場合】
大きな声で鳴く・スプレー行動・外に出たがる・落ち着きがなくなる。また、雄猫の尿は独特な臭いがしますが、手術をすることで臭いがなくなると言われています。
避妊・去勢手術によって、こういった性ホルモンの影響を受ける行動が軽減する場合があります。
ただし、すべての行動がなくなるわけではありません。
マーキングやマウンティングなどは、習慣やストレス、生活環境、その子自体の性格に関係するため多少問題行動が減ることはあっても、手術後も続くことがあります。
3. 避妊・去勢手術のデメリットやリスク
メリットがある一方で、手術には注意しておきたい点もあります。
① 全身麻酔のリスクがある
避妊・去勢手術では、基本的に全身麻酔が必要です。
現在は麻酔管理や手術技術が進歩していますが、麻酔による呼吸や循環への影響など、リスクを0にすることはできません。犬種や猫種によってもリスクは変わってきます。
そのため、手術前には診察や必要に応じた検査を行い、健康状態を確認することが大切です。
また事前に血液検査や身体検査を行って健康状態を確認した上でも、実は麻酔の薬に対してアレルギーがあった、体質的に薬に反応しやすく血圧が下がる、心拍が下がる、呼吸維持が難しい…などのリスクがもあります。
② 太りやすくなることがある
避妊・去勢手術後は、ホルモンバランスが変わるため、基礎代謝にも影響が出ます。
基礎代謝が下がる=燃焼されるエネルギー量が下がってしまうため、今まで同じフード量、運動量でも太りやすくなる傾向にあります。
体重が増えすぎると、関節への負担やさまざまな病気のリスクにもつながります。
手術後は、次のようなことを心がけましょう。
・食事量やフードの内容を見直す
・定期的に体重を測る
・適度な運動や遊びを取り入れる
手術後の体重管理は、健康を維持するうえで大切なポイントです。
③ 手術後のケアが必要になる
手術後は、傷口をなめたり、激しく動いたりしないように注意が必要です。
傷口をなめることで、炎症や感染につながる可能性があるため、必要に応じてエリザベスカラーや術後服を使用します。
また、手術後しばらくは運動を制限する必要があります。適度な散歩や家の中での運動は続けて大丈夫ですが、ドッグランなどに連れて行って全力で走る!遊ぶ!などは避けてください。
痛みの感じ方やストレスの感じ方はみんなバラバラです。食欲や元気、傷口の状態などを確認しながら過ごしましょう。
帰宅後の過ごし方や、気になる症状が出た場合の対応についてわからないことがあればいつでもご相談ください🙂↕️
4. 避妊・去勢手術は何歳から受けるのがいい?
「手術は何か月齢から受けられるの?」「初めての発情を迎える前がいいの?」と気になる方も多いと思います。
手術を受ける時期は、性別や体格、犬種、健康状態などによって異なります。
犬の場合
犬は犬種や体格によって成長のスピードが異なります。
一般的には生後数か月から1歳前後までの時期に手術を検討することが多いですが、すべての犬に同じタイミングが適しているわけではありません。
女の子の場合は、生後6~8か月ごろの初回発情前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクを下げる効果が期待できます。
一方で、大型犬などでは、骨格の成長や将来的な健康への影響も考慮して手術時期を獣医師とご相談の上、時期をご検討ください。避妊手術を行う時期によって将来尿失禁を発症しやすくなったり防げたりもおこってきます。
猫の場合
猫は生後数か月で性成熟を迎えることがあり、比較的早い時期から妊娠ができる身体になります。
そのため、繁殖を予定していない場合は、発情や望まない妊娠を防ぐためにも、早めに手術の時期を相談しておくことが大切です。
猫の避妊・去勢手術は、生後5〜8か月頃を目安に検討されることがありますが、実際の時期は体格や健康状態によって異なります。
5. 避妊・去勢手術をすると性格は変わる?
「手術をすると性格が変わる」という話を聞いたことはないでしょうか?
避妊・去勢手術によって性ホルモンの影響を受ける行動が変化することはあります。
例えば、発情に伴う落ち着きのなさや、性ホルモンが関係するマーキングなどが軽減する場合があります。
しかし、手術をすれば必ずおとなしくなる、甘えん坊になる、攻撃性がなくなるというわけではありません。
性格そのものには個体差があり、生活環境やこれまでの経験なども関係しています。
手術後の変化には個体差があることを理解しておきましょう。
6. 避妊・去勢手術をしないとどうなる?
避妊・去勢手術をしないからといって、100%必ず病気になるわけではありません。
しかし、女の子では子宮蓄膿症などの生殖器の病気、男の子では精巣の病気など、性別や生殖機能に関連する病気のリスクがあります。若い頃は大丈夫でも、高齢になって避妊去勢をしていたら防げたかもしれない病気になってしまった場合、若い頃の避妊・去勢手術に比べて全身麻酔や体の負担(リスク)が大きくなります。
手術を受けない選択をする場合も、定期的な健康診断を受け、普段と違う様子がないか確認しておきましょう。
7. 避妊・去勢手術の費用や当日の流れは?
手術を検討する際に、費用や当日の流れが気になる方も多いと思います。
手術費用は、犬・猫の違いや体格、手術内容、術前検査、入院の有無などによって異なります。
気になる方はお気軽にお問い合わせください。
(当院のおおよその金額は「料金表」のページに掲載されています。)
一般的には、次のような流れで手術を進めます。
① 手術前の診察・検査
健康状態を確認し、必要に応じて血液検査・レントゲン撮影を行います。
手術前には、健康状態を確認するための検査を行います。ただし、手術予定日の1か月以内に血液検査を受けている場合は、その結果や現在の健康状態を確認したうえで、追加の血液検査を省略できることもあります。
② 手術当日
麻酔に関連した誤嚥を防ぐため。手術当日は絶水絶食でご来院いただきます。
基本的に手術はお昼に行うので、前日の夜から絶食、当日の朝から絶水していただきます。
「目安として前日の夜9時までにごはんを食べさせる。当日の朝ご飯はなし。
お水は当日朝の6時頃に片づけて飲めないようにしておく。」と認識していただいて大丈夫です。
(術前から術後まで点滴を流しますので、お水を直接飲めなくても脱水になることはないので安心してください🌝)
健康状態に問題が無ければ全身麻酔下で手術を行い、術後は状態を確認し、様態が変化することがないかを見守ります。
男の子の去勢手術はその日のうちに退院できますが、女の子の避妊手術の場合は入院が必要になるので次の日にお迎えになります。
③ 帰宅後のケア
安静に過ごし、食欲や元気、傷口の状態などを確認します。エリザベスカラーや術後服などを身に着けてもらい、傷口を舐めてしまうのを抜糸の日まで防ぎます。
傷口の状態が良ければ術後10日~2週間の間で予約を取っていただき抜糸します。
もし傷口を舐め壊してしまい傷口がジクジクしている、糸が取れてしまって傷口が開いてしまった。などの異常事態の場合はすぐにご相談ください!😲
犬・猫の避妊・去勢手術には、望まない妊娠の予防や病気のリスク軽減、発情に伴う行動の軽減など、さまざまなメリットがある一方で、全身麻酔のリスクや術後の体重管理、傷口のケアなど、知っておきたい注意点もあります。大切なのは、メリットとデメリットの両方を理解し、その子に合った選択をすることです!
気になることがありましたら、お気軽に当院にご相談ください🌰
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